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- PLCとは
- 何故このページを作ったか
- PLCの現状について
- 医療上の問題
- 近隣との問題
- 短波ラジオ、アマチュア無線との問題
- 何故つながらないコンセントがあるのか
- 近隣への影響とは
- ノイズの影響とは
- オーディオ機器への影響
- PLC導入のメリット
- デメリットは?
- PLCに未来はあるか
- PLCとは
(Power Line Communications) 電力線搬送通信は、コンセントを経由して家の中で通信を行うための技術です。この技術を利用すれば、家中(オフィス中)をLANケーブルが這い回ることなくパソコンをつなぐことができます。その通信速度も最高200Mbps(毎秒25MB)となかなかに高く、HDDレコーダーに保存した高画質のビデオなどを家中にあるどこかのPCで再生する際などにも役に立つでしょう。
また、そういった問題を解決するための方法として無線LANというものがあります。しかし、無線は鉄筋コンクリートなどの建物内、または地下室との通信などではどうしても通じにくくなることが予想され、通じたとしても通信速度が制限されてしまっていたりします。無線のほうも、最近では50Mbps(毎秒6MB)にも達するほどの新技術も作られてきているらしく、今後さらにより高速な技術も出てくるでしょうが、現在はPLCという技術も選択肢に入ってきているのです。
- 何故このページを作ったか
どうでもいい話になりますが、このPLCという技術には反対派と呼ばれる人が多くいます。それはこの技術が未熟なものであり、またメーカー、それに協力する行政(経済産業省)側が利益のために不完全な技術を市場投入したと取れる部分が大きいからでもあります。
そのため、多くの人から反感を買う状況にあります。それらの問題点についてもこのページでもふれますが、私がこのページをわざわざ時間を裂いて作ろうと考えた理由は、この件に付いて無差別に自分の意見をまとめた文章を貼り付けて回る人がいるということにあります。なかにはそういった行動をする際にも最低限に抑えている人もいますし、"PLCには反対だけど、むやみに布教活動する奴は迷惑だ"と思っている人もいるようです。このように、反対派の人のマナーも人それぞれで違いますが、わざわざこれらの情報を広めようとする人はどうしても批判的な立場の人に偏りがちです。私はPLCを導入していませんし、導入するつもりも現状ではありませんが、この反対派過剰な状態では正しい知識が得られない状況であると考え、やや肯定的な立場から意見を書かせていただきます。
私自身、何気なくPLCを話題にだしたところ、検索を利用して私の書き込みにたどり着き、このページをすすめてくれた人がいます。
このページを読んだ時は、私もPLCの導入に反対すべきだと思ったものの、調べてみるとそれほど大きな問題ではないように思えたのです。通信速度などの面で、導入した本人自身が"予想より快適ではない。損をした。"と思うこともあるかもしれません。しかし、こういった表面上の謳い文句と実物の間の問題は、液晶モニターのドット欠け、HDD容量、インターネットの最高速度など、様々な部分で見られることとさほど変わらない点だとも思います。また、医療機関などで無線通信類に関する注意が求められています。このような生命に関わる分野では、たとえ問題が起こる可能性がわずかしかなかったとしても、注意書きしなければならないと思いますし、実際注意を怠るべきではないとも思います。しかし、可能性がある程度(極めてゼロに近いと言えるほど)低くないかぎり、流石に販売は不可能です。偶然家の前を通りかかった程度で、家庭内のPLCの影響で心停止する人が出るほどに強い電磁波が出るようなものは決して許可されることはありません。当たり前です。
PLC推進派のデータです。アマチュア無線等への影響について言及したデータはないと書いていますが、この記録は2005年10月に作られたもののようで、それ以降にはいくつか出てきているようです。 - ノイズの影響について
ところで、肯定的立場をとった理由は、ただ単に否定派とのバランスを取るためではなく、私自身がこのPLCについて調べた結果、世の中にはこのPLCが市場に出てくることを望んでいた人がいる可能性だって十分にある、また、現状のPLC技術でも十分に実用可能であると考えたためです。
PLC購入の前に、自分に必要かどうか、周囲に迷惑をこうむる人がいないかを考えながらこのページを参考程度に眺めてもらえればOKです。私はこの技術が特に広まってほしいわけでもないんですが、おそらく、困りもしない立場の人間です。アマチュア無線家が嫌いなのか?と聞かれれば、まあ嫌いになりました。この一件で。以前、私の近所にアマチュア無線家がいたことがありましたが、母の話によれば、ラジオにノイズがのるときとアマチュア無線のアンテナが動いているタイミングは重なっていたとのことです。
……AMにも影響するものなのかなあ……
短波ラジオに関しては特に聞くものもありません。
- PLCの現状について
現在、様々な問題があるといえます。
- 医療上の問題
PLCを利用することは医療上問題が生じる可能性があることが、厚生労働省からも
出されています。
薬食安発第1109002号
- 近隣との影響
近隣に住んでいる人に短波ラジオ、アマチュア無線を嗜む人がいた場合、それらの人が受信、通信を妨げる妨害電波を放出してしまう可能性があります。
近隣への家電には影響も可能性はゼロではないようです。
- 通信できないコンセントの組み合わせが生じる
特定のコンセントと別のコンセントをつなごうとすると、どうしても通じない場合があり、これはコンセント内部の構造上の都合のため、簡単に改善できる方法はないでしょう。
今後新しく家を建てる際などに、PLCによる通信がかのうなように配線が考慮されるようになっていくかもしれません。
- その他、ノイズが出る
とにかく、多くのノイズが出ているらしいです
これらの問題について、詳しく扱っていきます。
- 医療上の問題
上のリンクにもありますが、厚生労働省が一応の注意を呼びかけているのは本当です。しかし、これが現実に影響を与えるケースは- 医師、看護婦等が病院内のネットワークにPLCを利用
- 患者が病院に無断でPLCを設置
等だと思います。病院内で医師、看護婦の情報伝達にLANなどを導入すると便利になりそうです。しかし、ケーブルを廊下に這わせることもためらわれることでしょう。
そういった場合でもPLCはお勧めできない状態であるということで、これは我々が気にする問題ではなさそうです。導入を考えた医療関係者に、販売側が通知することと、医療関係者全体に、メールでの告知、説明会などを省の側でやっていけばいいのです。
入院している患者側が勝手にPLCを導入する場面も思い浮かびません。
インターネットをやりたいと思った人が自分のベッドの脇のコンセントからつなぐため、ナースステーションに忍び込んでPLCとモデムを繋いで・・・とかやることは無理でしょうから。
それはないにしても、家庭での療養中の場合どうなるのか?と考えましたが、一般家庭に医療機器を運び込む例もほとんどないでしょう。心電図などを運ぶことも短期的には行われるかもしれませんが、長い期間家において置けるのは相当な金持ちだけではないでしょうか。そこまで病状が思わしくなかったら、普通入院を選びますしね。
医療機器への影響はペースメーカーなどとは何の関係もなく、交流電源(コンセント)に繋いだ場合だけなので、ノイズのペースメーカーへの影響は気にするべき問題ではないはずです。また、近隣への影響もこのあたりに関しては無関係です。・・・いや、集合住宅では一応警戒したほうがいいでしょう。自宅に心電図などを運び込む場合には、隣室等への協力を呼びかけましょう。
ところで、医療機関では携帯は止められるわけで、無線LANとかはどうなのかな?と思ったら、無線LANも問題は軽微ですが・・・
Buffalo(影響なしと断言)
Allied-tlesis (一応の注意を呼びかけている)
Planex (強く注意を促している)
ニュース
心臓ペースメーカーへの影響、無線LANは軽微、RFID機器は問題も - 総務省
導入例
「病院にもITを」 インテル、千葉で医療機関を支援
“モバイル医療”が始まった
- 近隣との問題
こちらを見る限りでは、情報漏れの可能性が書かれています。
TDKノイズ(EMC)入門2
他、近隣のPLCとの干渉による速度低下などもあるそうです。お互い様ですね(解決すべき課題だとは思いますが)。
121ware PLCデ快適にホームネットワークを楽しむために
海外の放送は聞こえなくなるそうです。
これがPLCの雑音だ!松下PLCアダプター実験
- 短波ラジオ、アマチュア無線との問題
PLC(電力線通信)導入実験で短波ラジオに妨害発生
短波とはAMとFMの中間の波長を用いたラジオで、AM,FMラジオの受信機では聞けません。日本では日本経済新聞社が放送しているようですが、それ以外にも海外のラジオ局の放送を聞いている人がいるのかもしれません。
これらの問題は、もともとPLCを利用するための波長とは別の波長で現在PLCが使われているため起こっているのだそうです。これを解決するには、無線放送をデジタルで行うなどの方法もあるでしょうが、PLC側の波長を変えることも解決方法の一つでしょう。
どうして変えてしまったのでしょうね・・・
可能性として、
- 速度を上げるため高周波帯に移動した。
- 以前から空港などで使われていた(らしい)PLC技術との混乱を防ぐため
などでしょうか。平和的解決を望みます。アマチュア無線は別の周波数を使うことは出来るでしょうが、短波ラジオはそうはいきませんからね。国内の短波ラジオ放送にかんしては、その周波数だけは使わないようにされているようですが、海外の放送を全て網羅することはできなそうです。やや問題をすり替えるようなことを言いますと、短波ラジオ愛好家がPLCのせいでノイズが増えたかもしれないと批判しているページがみつかりません。大抵、受信機を持っているアマチュア無線家が検証しているだけのような気がします。
- 何故つながらないコンセントがあるのか
PAKU's WiKi PLCがダメな理由
以下、引用
>電柱から素の100Vを2本の電線で引いてくるケースよりも、 3本の線で200Vで引いてきて家の中を100Vの2系統で配電しているのが増えてきているそうです。
壁の中の100Vの電線を使って通信するわけですから、その系統をまたぐ形でのPLCでの通信は出来ません。 PLCのために系統の振りなおしとか事前調査などをしてもらわなければならないということになります。
引用終わり
- 近隣への影響とは
散々書かれていますが、速度が遅くなるあたりは実際ありそうなものの、それ以外は"可能性"の問題で、実際は確認されていない状態なのではないでしょうか。
屋外へ垂れ流し、隣の家でも使えちゃう?妨害になることも
隣の家でも使えるという点に反応して読んでみたもののさすがにタダ乗りはそう簡単にはいかなそうです。通信は暗号化されていますし、PLCのアダプタ同士でお互いに通信することを了承しなくてはいけないはずだからです。
この件に付いてすぐ下に訂正記事が載っています。この人が言うとおり、妨害というか、干渉による共倒れな現象は起こりうるのでしょう。
- ノイズの影響とは
武蔵工大教授による実験
ここを観てみれば、ガンガンに出ていることが確認でいます。
それじゃやっぱだめじゃん!と思ってしまう人がいたとしたら、それはこのページが大変不親切にできているためです。
ノイズの影響を受けるのは、やはりアマチュア無線、短波放送のみです。人体に影響するには弱すぎるでしょうし、おそらくペースメーカーにも問題ない強さでしょう。(コレで問題あったらアマチュア無線そのものが問題になる気がします。さすがに、ノイズとして漏れ出してしまう電波が、通信するために意図的に放出している電波と同等の強さなわけじゃないでしょう。)
それ以外では、PLCの通信同士での干渉などもあるのでしょうし、他の電子機器への影響も可能性としてはあります。
そのうち、オーディオメーカーからPLC対策の施されたACアダプタやそういった30-50MHzくらいのノイズ対策をするための自作パーツなどが見られるようになるかもしれません。"コンセントから出ている危険な電波をシャットアウト!"みたいな怪しい商品もでてくるかも。
- オーディオ機器への影響
オーディオマニアというものは、こういったこと(ノイズ)へは過敏ともいえる反応をします。素人な考え方では、人間の耳は20kHz程度までしか聞こえないので、その1000倍の周波数であるPLCの影響は無視してもよさそうに思えます。しかし、技術のある人がいずれ可聴域にまで影響を及ぼしてる事実を突き止めることもあるかもしれません。そのときも、おそらくは自分自身が導入しなければ問題はない程度で、隣のPLCの影響で雑音が出るとかはないと思います。
- PLC導入のメリット
- ケーブルが片付いて床がスッキリ
- 鉄筋、周囲からのノイズに強く、通信速度が高い
このへんでしょうか。鉄筋、地下室など、電波が通りにくい条件にある場合にはPLCのほうが無線より高速かもしれません。ビルなどで2つのオフィスを繋ぐ場合などでもつかえるかもしれません。
- デメリットは?
まだ、装置が高いと思います。個人的には。有線、無線LANのほうが安いと思います。もし導入する場所は地上ひとつ、地下室一つなどだったり、一軒の中で二箇所を繋ぐために導入し、それ以降は普通に有線LAN、無線LANで使う形になるのではないでしょうか。
それ以外にも、上に挙げたようなノイズの影響、近隣でもPLCを導入した場合の速度低下の可能性、発展途上の技術につき物の「もしも」の可能性などが付いてきますが。
・争うと負ける?
BCL日記
アマチュア無線家とのノイズ関連でもめた場合、PLCを使っていたことによって近所のペースメーカーに誤動作を与えてしまった場合、裁判では100%負けると宣言している人がいますが、本当なのでしょうか?
そうでもないようです。
JH3YKV's Amateur Radio News
精密機械への保証が不完全なのは仕方ないっすよね。まあ、売る側だってかなり念入りに調べてるとは思いますが。
携帯電話に関する根拠を見つけられませんでしたが……
一部引用
>PLCが検討されだした初期の頃は全ての責任はPLC側にあるような話しになっていましたが、それが電波審議会の段階になると電波法第30条を持ち出してアマチュア側にも責任があるような表現になっています。近隣からクレームを受けた場合電波の発射の中止を余儀なくされます。
引用終わり
裁判では「以前どのような判決が出たか」という判例が重要視されることが多いらしいです。たまに、「判例とは大きく離れた判決」なんてのが出てニュースになったりしてます。
こういう、判例のない新しい分野ではどう転ぶかわかりませんね。
無論、PLCを導入して訴えられた場合、必ず勝てるとは言わないですが、相手も、必ず勝てるわけではないのでそうそう訴えはしないものです。
- PLCに未来はあるか
PLCの最大の目的は、インターネットをPLC技術でつなぐことです。ADSLよりも現在の光通信よりも早いと考えられています。
これだけノイズの問題などが取り上げられているのに、それが家の外まで普及していたら・・・と考えると恐ろしいとも考える人もいるでしょうが、電子機器へのノイズに関しては周波数帯を変えれば大丈夫ですので、現状問題はあっても、将来的にはお互い影響のない周波数帯に落ち着くはずです。ラジオ、無線通信もアナログ通信からデジタル通信に変わっていけば問題なく通信できるようになると思います。アマチュア無線がどうなるのかは知りませんが。
ADSLが山間部などに普及していない理由は……良く知りません。広いエリアに大して信号が弱くなるからとか聞いた気がしますが・・・
この問題に対し、PLCなら改善可能という根拠もありませんが、電話線だけでなく、送電線による通信手段を用意することによって、インターネットを快適に利用できる人はふえるかもしれません。問題を解決するにあたって、アプローチの手段は多いほうがいいのです。
アマチュア無線家は、ただ自分だけがよければいいという考えの元、この可能性を潰そうとしています
・・・こんな風に言うことだってできるんですよね。
PLCは通信速度の上限が現状200Mbpsということもあり、今の光通信の2倍の可能性を持っています。(光は、将来もっと速くなる方法が検討されていますが)
光はまた光ファイバーを通さなければならず、都市部には普及して言っているものの、山間部にまで通るかどうかはわかりません。しかし、電力線は通っています。電話線も通っているとは思うのですが、その現状でADSLつながらない地域にPLCならブロードバンド通信をもたらしてくれる可能性は一応あると私は思っています。私がPLCを擁護している理由の一つはこれです。未来の技術なんて想像できないものです。10年前は通販なんて怪しい商売としか思ってませんでしたし。
家庭内LANについては、鉄筋コンクリートで阻まれた先に通信する方法はやはり必要になってくるでしょう。透明マントを作ることが出来るとされるメタマテリアル(左手系材料)はアンテナ技術に貢献する可能性もあるそうです。
また、壁に阻まれたり、PLCを導入しないでLANを組むための手段として、家を新築する際などに、壁にLANケーブルを埋め込んでしまうのでもいいとも思います。LANケーブル用の溝とか、家を建てた後でも通しやすいようにする工夫を用意しておいたり。問題は10年後にLANケーブルが残っているかは判らないということでしょうか。また、現在でもギガビット通信用の高性能なLANケーブルなどが出ているので、引っこ抜いて新しいケーブルに交換できるようにすることも考えなければならないかもしえません。(このギガビット用ケーブルなどについては一応規格が存在するので、実はそれ以前と全く同じケーブルだったりするなんて事はないと思います。多分。)
……PCを使うかどうかも判らない部屋にまでギガビット対応のケーブルを網羅し、それも将来より高速度の通信に対応したものに交換するかもしれない……などどう考えても経済的ではありませんが、PC後ろのシリアルポートのように、万が一のため的に10Base(いまどきでは安くても100Base用ケーブルでしょうか?)だけでも通しておくのもありでしょう。特に地下室などがあるなら、あらかじめLANケーブルを通しておいたほうがいいかもしれません。
2007.10月某日
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