ミナミノミナミノ(以下ミナミノ)は2005年1月に発売された秋山瑞人の最新作です。(2006年3月現在)
前作「イリヤの空、UFOの夏(以下イリヤ)」がシリーズ累計10万冊の大ヒットとなり、アニメ化もされることになったため、
ボーイミーツガール2連発ということになりました。
しかし秋山瑞人の持ち味はそっちじゃない!という意見も強く、そういったファンからは、
「2番煎じ」、「イリヤの劣化コピー」と評判はあまりよくありません。
まだ1巻しか発売しておらず、現段階で「駄作」と言い切ってしまうのは早計であるという声もあるとおり
続刊をまち、改めて評価しなおすべきと考えます。
しかし、それが出来ない以上、
ミナミノ一巻の中の秋山らしさを探し、少しでもミナミノの評価を上げ、ミナミノを楽しもうと思います。
というわけで、以下、ミナミノの「よかったさがし」です。
- 作品中、正時が「かわいい」「美人」を連発する理由は?
人気イラストレーター駒都えーじ氏(以下敬称略しこつえー)の描く女性は皆美しく、
イラストには出てこない義理の祖母「喜久子」さんまでティーンエイジャーばりに若そうな気さえします。
こつえーのファンだから、表紙のイラストを見て、というものでライトのベルを買う動機としては十分なので、
イラストは前作「イリヤ」の売り上げに与えた影響はとても無視できるものではありません。
イリヤからこの作家のことを知り、それで以前の作品の存在を知った人も結構いるようです。(管理人もその一人)
前作のイリヤでは、主人公浅羽直之はあまり女の人を「かわいい」「美人」と評価しな印象がありました。皆美人なんですが。客観的にきれいとされる他人のイリヤ、晶穂、水前寺姉、椎名の中で、椎名を「よく見れば美人」、水前寺姉を友達との会話の中で「お姉さんがすごい美人」と評価したくらいだと記憶しています。これも、本人が好意を持っているための感想ではなく、友達同士での話のネタ的なものに見えます。晶穂にいたっては文章では全く出てこなかったかもしれません。
初めて読んだとき、萌え重視を強要された作者が捨て鉢になり、「美少女いっぱい空間」を作り上げているのではないかと思いました。しかし、考えてみれば、浅羽と正時は別の人間で、性格も違います。それなら女性に対する印象などの受け取り方も違うと考えられます。
さらに、浅羽は14歳で、正時は15歳になります。以前、「自我を意識する話は14歳、恋愛を意識する話は16歳」というような話を聞いた覚えがあります。女性をかわいい、美人と表現する機会が多いのはこの年齢差を表現するものだったのかもしれません。
- いくつかの表現
こくご、ばーか等の場面はよかったと思います。
- 映像化を意識?
「空中をぬるぬるとした動き」というのはなんとなくアニメで見たことがあるような気がします。アニメ化を狙っての表現かもしれませんし、映像を文章で無理やり表現してみたかったのかもしれません。リアルな映像ではなく、ハリウッドなCGの映像が思い浮かびました。そういう試みもきっとアリです。
- 見開きのイラスト
猫の地球儀以降、巻頭と章の始めの扉絵以外ではイラストは出てきません。しかし、ミナミノでは見開きで、ひとつのクライマックスともいえる場面で見開きに美少女イラストが登場し、これは一般の方による書評サイトでも不評でした。
なぜあの場面だけ挿絵が、しかも2ページにわたってのったのか。
実際には深い理由なんてないかもしれませんが、場合によっては作者に内緒でイラストを追加したのではないでしょうか。
作者はどの程度の指定をして原稿を書くのか判りませんが、秋山は猫の地球儀でレイアウトがたいへん重要な表現をしました。他にもある程度考えながら書いている場面があるのかもしれません。2ページ使ってイラストを載せてしまえば、原稿が縦何文字、横何行のみひらきの状態で書かれているとしても、その原稿を全くいじらずにイラストを追加できるでしょう。
たったそれだけで作家がへそを曲げてしまったりすることなんてないと思いますが、もしそうだったら…なんて考えてしまうほど待つ時間とは長いものです。
- 春留がツンデレ
敬語で怒ったように話す様子や、勝手に明日も一緒にいる約束を(ry
- バスが来なかったのは腹痛のせい?
もともとあの道はバス屋の巡回ルートに入ってなかったりしませんかね?正時と一緒にいる時間を延ばすため、わざとバス巡回ルートを外して歩いていたというような……
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